Karikomu

「かりこむ」は、八雁短歌会員を基とした短歌を学ぶ場です。

本日の一首ー改訂版・短歌史年表の完成

西暦629年から、2021年までの「『改訂版』短歌史年表」の作成が終わりました。 お知らせ頂ければ、添付ファイルにてお送り致します。 <引用・参考文献> 『現代短歌全集』第一巻より第十七巻(筑摩書房)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…

本日の一首ー野上卓

皿の上にパセリ一片残されて窓の向こうは秋雨の街 『 チェーホフの台詞』野上卓 本阿弥書店 (2021) 逐語訳:皿の上にパセリのひとかけらが残されている、そして、窓の向こうに秋雨の降る街がある。 この歌を選歌するか否か。私は迷い、結局、選歌した。「皿…

本日の一首ー改訂版・短歌史年表の作成過程

只今、上記の様な、短歌史年表を作成しております。 項目は、 西暦・元号・日付・資料に見る日本の近現代・代表的歌集・歌人の生誕と没年・短歌史 の6項目です。 9月末日をもって、完成と致します。 単純なことですが、「長生き」をして「歌集を出し続ける…

本日の一首ー関口智子

「トモコちゃん」と確かに呼んでくれる人ひとり在りて四十三歳 この歌の読み手が分からないところは、「四十三歳」が作者自身のことを指すのか、それとも、「呼んでくれる人」の年齢なのかが、不明瞭な点である。 推敲段階で、文語にしたり、助動詞、助詞な…

<完成版・短歌史年表>

まだまだ、見落としがあるかとも思われますが、元会員S藤氏からのご指導やⅠ上氏の査読を頂き、本年表が完成致しました。 ご協力に、感謝申し上げます。 ご連絡を頂ければ、添付差し上げます。ご遠慮なく、お知らせください。・・・・・・・・・・・・・・・…

本日の一首ー正岡子規

明治十八年 壬午の夏三並うしの都にゆくを送りて 伝へきく蝦夷の深山の奥ならてさけんかたなしけふのあつさは 逐語訳:伝え聞いている北方の深い山奥にありて避ける方法はない今日の暑さは 忍恋 明くれにこひぬ日もなし玉の緒のたえねばたえぬ思ひなるらん …

本日の一首ー木俣修『近代短歌の鑑賞と批評』(1985)明治書院木俣修(短歌史年表作成過程より)

短歌史年表の作成途上で、元会員のS藤様より、様々な資料を頂戴した。本日の進捗状況の報告を兼ねて、上記の表を載せる。とは言えども、これは、木俣修著『近代短歌の鑑賞と批評』の「目次」である。目次をまとめるだけでも、時代の流れを捉えられる。有り難…

お詫びです。 <次回の掲載につきまして>

*下記の通りに予定しておりました更新ですが、自身の管理不足により、早くとも、9月3日(金)、4日(土)、5日(日)を目処に延期することに致しました。ページを開けてくださった皆様には、深くお詫び申し上げます。 予防に予防を重ね続けるしかないまま、…

本日の一首 ー 谷川電話

とりあえず便器に座ってぼくらしいうんちの仕方から考える 谷川電話 『短歌往来』ながらみ書房(2017)p46 この歌をいかに解釈するか。 解釈:とりあえずとあるのだから、何か、その前後に大事があり、その間に、トイレに行き、便器に座って自分らしい排便の…

本日の一首ー短歌史年表

短歌史年表と呼ぶには、まだ及ばないが、年表の作成を試みた。 下記のサイトより、大まかな時代の年表を打ち込んだ後、現代短歌全集に載っている、歌人の生まれた年と亡くなった年を書き込んだ。www.ndl.go.jp https://www.ndl.go.jp/modern/utility/chronol…

本日の一首ー 戦争について学ぶ

嫌いでは無いのに、どうしても覚えられないものに、地理と歴史がある。世界史が最も頭に入らない。けれども、短歌を追ってゆく時、どうしても戦争と近代史は外せないものとして感じるようになった。せめて、日本の戦争くらいはピンと来るようにせねばと、薄…

本日の一首 ー 『第113号 現代短歌新聞』(2021年8月5日発刊)を読んで

月岡道晴『視点ー研究と現代短歌の架橋』(p②)を読んで 以下、抜粋。 「戦後のある頃までは万葉集のみならず、和歌文学の研究は歌人が多くを担っていた」 「『私たちより二世代ぐらい前の研究者たちは、若い時は短歌を作るのが当たり前だった。・・・(中略…

<2021年8月2日以降の『Karikomu かりこむ』の記事欄について>(関口)

いつもご覧頂いている方々へ 個人研究として掲げて来た『私はなぜ前川佐美雄が好きか』の再開を試みて、私の理解が遅々としている為、これ以上、掲示板で進めていくことは難しいと痛感しました。 今後は個人研究は自分自身で進め、Karikomuでは、『現代短歌…

第七十二回 私はなぜ前川佐美雄が好きか(29)ー『前川佐美雄』三枝昂之 五柳書院(1993)に学ぶ⑮

第七十二回 私はなぜ前川佐美雄が好きか(29)ー『前川佐美雄』三枝昂之 五柳書院(1993)に学ぶ⑮ 2018年12月19日の記事をそのまま下記に示す。それを元に、現時点での私が大事だと思う事を加筆修正しながら、お伝えするように試みる。 ・・・・・・・・・・…

次回の更新につきまして。

Karikomuをご高覧頂いている方々へ いつも、かりこむを開いてくださり、本当に、有り難うございます。 諸事情により、パソコンが使えない状況にある為、次回の更新 を、7月31日(土)とさせて下さい。 その間に、出来る限りの精読等をし、やや内容の煮詰まっ…

本日の一首 ー 奥村晃作

ジョーンズの一枚の絵のどこ見ても現わし方がカンペキである 今回は、歌の鑑賞ではなく、奥村晃作氏の魅力を伝えたく記す。 奥村氏は「定型がベスト」という姿勢を崩さず、それでいながら、ガルマン歌会などにも足を運ばれたことがある様だ。 私が一度、お会…

本日の一首 ー 斎藤茂吉

満ちわたる夏のひかりとなりにけり木曽路の山に雲ぞひしめる 逐語訳:満ち渡った夏の光となっていたなあ、木曽路の山には雲が潜んで(隠れて)いて この一首は、全く「短歌」に関連の無さそうなーあるライブ・ハウスのインターネット上の広告欄にー載せられ…

本日の一首 ー 工藤貴響

西の雲払われたれば川の面にひかりを下ろす虹のなないろ 工藤貴響『八雁』(2021年・7月号) p52 逐語訳: 西にある雲がとりのぞかれると川の水面へ七色の虹がその光を下ろす 綺麗な自然の風景と、二句の詠い出しによる時の経過の導入に、上手さを感じた。こ…

本日の一首 ー 宮澤賢治

せともののひびわれのごとくほそえだは淋しく白きそらをわかちぬ 風来り、高鳴るものは、やまならし、あるひはボブラ、さとりのねがひ。 阿片光 さびしくこむるたそがれの むねにゆらげる 青き麻むら 宮澤賢治 宮澤賢治の詩や童話の文学的営為の源は、実は短…

本日の一首 ー 福永武彦

病院の待合室に待ち侘びてさまざまの音を聞き分けてをり 咳すれば暗き伽藍にとよもせる音は五体にひびかひやまず 福永武彦 ちょっとしたことで、この本を手にした。「福永武彦」。間違いなく、私の大好きな作家の名が目次にあった。『忘却の河』新潮社 (196…

次回の掲載日について。

ご覧頂いている皆様 いつも、Karikomuの頁を開いてくださり、本当に有り難うございます。 一身上の都合により、次回の更新は7月1日(木)になります。 断続的な更新状態にあります事、お詫び申し上げます。 何卒、御理解並びに御容赦頂ければとお願い申し上…

本日の一首 ー 関口智子 

葉桜に別れを告げてこの風に乗っていこうと決めた花びら 関口智子 この歌は、私が高校時代に作った歌である。当時は、俵万智氏のお陰で、ちょっと詩を書く延長上に、この様な歌を日記に書いていた。 そして、時は経ち、「八雁短歌会」に入るも、横浜歌会出席…

本日の一首 ー 永田和宏

「六〇兆の細胞よりなる君たち」と呼びかけて午後の講義を始む 永田和宏『風位』 初めて、永田和宏氏の発言に目を留めたのは、2020年の角川短歌賞の選考座談会での発言であった。大賞候補は五作品であった。永田氏は、「テーマとか、新鮮さは大事だけれど、…

次回の掲載日について。

ご覧頂いている皆様 いつも、Karikomuの頁を開いてくださり、本当に有り難うございます。 諸事情により、次回の更新は6月17日(木)になります。 何卒、御理解並びに御容赦頂ければとお願い申し上げます。 六月も中旬となり夏の光を感じる今日この頃、お身体…

本日の一首 ー 阿木津英 真野少

躁の日は花を摘み来て道端にわが並べ売る「10円」と書き 真野少「明暗」 この歌を読んだ直後、「うわあ、すごい、分かる分かる」と、一人で有頂天になった。その後も、この歌は好きな歌であり、たまに思い出す歌となった。凄い発想力だと感服していた。それ…

本日の一首 ー 山崎方代

大正三年霜月の霜の降るあした生まれて父の死を早めたり 何か新しい良い歌は無いかと冊子を開くと、「11月の歌 田村広志選」の欄にこの歌があった。破調である。8・5・5・7・10、35字からこの歌は成る。私がもしこの歌を推敲するならば、おそらく、「霜…

本日の一首 ー 釋迢空 

人も馬も道ゆきつかれ死にゝけり旅寝かさなるほどのかそけさ 3年以上前だろうか、大川さん(八雁短歌会員)と一緒に勉強していた時期があった。その時に、大川さんが分からない歌として掲出歌を示し、二人で、頭を捻った記憶がある。今となっては、何に知恵…

本日の一首 ー 『現代短歌 第77号』ー「短歌にとって悪とは何か」を読んで

『現代短歌』(77号)を拝読した。題は「短歌にとって悪とは何か」である。この特集の冒頭に掲載されていた、吉田隼人氏の「欠損と沈黙」p26-31について記す。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 吉田隼人氏は、「沈黙ー二重の罪」、…

次回の掲載日について。

ご覧頂いている皆様 いつも、Karikomuの頁を開いてくださり、本当に有り難うございます。 諸事情により、次回の更新は6月1日(火)になります。 何卒、御理解並びに御容赦頂ければとお願い申し上げます。 皆様に置かれましても、梅雨時、心弾ける日常があり…

本日の一首 ー前川緑(八・完)『みどり抄』跋文

下記に、『みどり抄』の跋文の要点を記す。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 『みどり抄』は一人の歌人の十五年間の作品集としては、数が少ない。その理由は、彼女の歌をみればわかる。 『みどり抄』を彼女の心の中であたためら…