Karikomu

「かりこむ」は、八雁短歌会員を基とした短歌を学ぶ場です。

第十七回 『独り歌へる』 若山牧水

『独り歌へる』 若山牧水明治43年

「選歌8首」(全515首より)
夕されば風吹きいでぬ闇のうちの樹梢(こむれ)見ゐつつまたおもひつぐ
わかれ来て幾夜(いくよ)経ぬると指折れば十指(とゆび)に足らず夜のながきかな
胸にただ別れ来(こ)しひとしのばせてゆふべの山をひとり越ゆなり
夕ぐれの街をし行けばそそくさと行きかふ人に眼(め)も鼻(はな)もなし
ここよりは海も見えざる砂山のかげの日向(ひなた)にものをおもひぬ
耳もなく目なく手足無きあやしきものとなりはてにけり
うしなひし夢をさがしにかへりゆく若きいのちのそのうしろかげ

<感想>
 牧水、25歳時の第二歌集。
「君」、「恋」、「あめつち」という語が繰り返し歌に含まれている。中学生の頃から作歌し始め、43歳没まで、30年間で15冊の歌集を残したことは、偉業だと思った。
 しかし、正直な感想として、今はまだ、若山牧水の良さが、見い出せない。もっと自然体で歌えないのかと、どうしても、思ってしまう。もし、若山牧水の良さを教えてくださる方がいたら、是非、お願い申し上げます。