Karikomu

「かりこむ」は、八雁短歌会員を基とした短歌を学ぶ場です。

本日の一首

影深き沼津の鳶を思ふかな七草粥も昨日に過ぎて

 玉城徹『左岸だより』 短歌新聞社(2010)

 

著名な方だということは知っているが、私はまだこの歌集を手にしていない。この歌を知ったのは、ある短歌の勉強会でのことである。私は偶々、同席し作業をしていた。そして、どなたかの発表を「耳で聴いて」いた。その日以降、下の句が絶えず、耳から離れずリフレインすることが、半年間、続いた。本来、私は他人様の歌を諳んずることが苦手である。しかし、この歌はなぜか、自然に、顕ってくるのである。ある方によれば、玉城徹氏は歌人として哲学の「カント」を読むことを奨められたそうである。短歌の調べをもってして、そこまでの深みを追求する氏の歌より、学びたいことが大いにある。