Karikomu

「かりこむ」は、八雁短歌会員を基とした短歌を学ぶ場です。

本日の一首

ついに地がうごきいずると思うまで見あげてあれば脚はさむしも

       村木道彦 現代歌人文庫『村木道彦歌集』 国文社 (1979)

 

「八雁」のS藤様の紹介で手にした歌集である。S藤様によると、塚本邦雄氏、岡井隆氏、寺山修司氏が60年代から70年代にかけて「前衛御三家」であり、村木道彦氏はその周辺にいた人物だそうである。さて、本題である。歌の感想は、「一首一首が『自己完結』」になっている、というものであった。よく言われる「青年の主張」と言い換えられるかも知れない。ただ、2020年の口語短歌とは確実に異なる前衛短歌である。実験的な愉しみはなく、感情の内奥から来る必然性の香りがした。叫びたければ、叫べばいい。だがそれは、他人様に伝えたいことなのかどうか問うて見よ、と私は私に言いたくなった。