Karikomu

「かりこむ」は、八雁短歌会員を基とした短歌を学ぶ場です。

本日の詩

「きらめきのゆきき

 ひかりのめぐみ

 にじはゆらぎ

 陽は織れど

 かなし。

 

 青ぞらはふるひ

 ひかりはくだけ

 風のしきり

 陽は織れど

 かなし。」

 

  《中略》

 

「にじはなみだち

 きらめきは織る

 ひかりのおかの

 このさびしさ。

 

 こほりのそこの

 めくらのさかな

 ひかりのおかの

 このさびしさ。

 

 たそがれぐもの

 さすらひの鳥

 ひかりのおかの

 このさびしさ。」 

 

  宮澤賢治 『十力の金剛石』福武書店(1983)

 

誰にも、誰にも、知られたくない詩、だった。

悲しい時に、この詩に浸り、寂しさを埋めた。

この先も、これまでにない、心細さを感じる。

その時までに、より強くも弱くも、なりたい。

未だなお四十二歳とし、この詩をここに置く。