Karikomu

「かりこむ」は、八雁短歌会員を基とした短歌を学ぶ場です。

本日の一首 ー 村山寿朗

 

この長き坂を登るに自転車を降りて押す日がやがてくるべし

       村山寿朗(2001年<牙>11月号) 

石田比呂志 ここに歌ありー<牙>ー作品鑑賞(2003)松下印刷 

 元来は生粋の出不精である私。転居して手狭な住処に移り、コロナ太りも気になって、午前中は散歩をするように試みている。が、しかし、健康へ健全へと向かおうとすると、本音の私が消えていくようで、思い切って開き直る方が、具合が良くなるように思えてならない。「家から出ないで一日中、本を読んでいたいのです」と。そんな折節に、村山寿朗氏の歌を見つけた。将来を有望される程に聡明な方だったそうだが、躁鬱病に左右される人生を過ごされてきたことを知った。掲出歌は、実際に坂の上で育った私にとって、身体感覚から感情移入した歌である。又、四十歳を過ぎ「老い」がよぎるようになった私にとっても、この歌はすっと時の流れを感じさせるものであった。平易な言葉で「哲学」を詠われている。今少し、焦りのある私。見失った「素直」に、もう一度、伏して会合したい。