Karikomu

「かりこむ」は、八雁短歌会員を基とした短歌を学ぶ場です。

本日の一首 ー 関口智子 

葉桜に別れを告げてこの風に乗っていこうと決めた花びら

                  関口智子

 

 この歌は、私が高校時代に作った歌である。当時は、俵万智氏のお陰で、ちょっと詩を書く延長上に、この様な歌を日記に書いていた。

 そして、時は経ち、「八雁短歌会」に入るも、横浜歌会出席の折、二進も三進も歌が作れず、この歌を出詠した。出す前から、阿木津氏に諭される事は覚悟していた。

 当日、数票を頂いたが、取って下さった方も口を揃えて、「阿木津さんがこの歌を駄目だというのは分かっていたけれど・・・」と仰った。無論、阿木津氏は「言いたいことはよく分かるが、これは歌ではない」と仰られ、私を含め、皆が納得したと思う。

 以来、この様な歌を、今も作りそうになってしまう時がある。何が歌か否かの境目なのかすら分からなくなって、悶々とすることがある。

 ここで、今日、この歌を掲載したのは、『アララギの釋迢空』を読みながら、私の陥りやすい上記のような歌では無い言葉の羅列は、「フレーズ短歌」と括ると、気持ちの整理が出来ると思えたからだ。

 なぜ『アララギの釋迢空』を読みそう思えたのかは、分からない。自然と思えたとしか言えないのだが、おそらくは、第一章を読み、釋迢空の不器用さを追いかけているうちに、自分の弱点に気付かされたというのが、最も相応しい。再考を試み、次の回に述べることとする。

【参考・引用文献】

  阿木津英『アララギの釋迢空』砂子屋書房(2021)

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*当面の間、月曜日・木曜日を目処とした週二回の更新になります。何卒宜しくお願い申し上げます。