本日の一首 ー 宮澤賢治
せともののひびわれのごとくほそえだは淋しく白きそらをわかちぬ
風来り、高鳴るものは、やまならし、あるひはボブラ、さとりのねがひ。
阿片光 さびしくこむるたそがれの むねにゆらげる 青き麻むら
宮澤賢治の詩や童話の文学的営為の源は、実は短歌だった。作り始めたのは石川啄木を知った中学生の頃からで、二十五歳までの期間であった。歌集は出していない。昭和八年、三十八歳に逝去。児童文学者として後年、名をとどめていた賢治であるが、最後に残したのは短歌だった。
病(いたつき)のゆゑにもくちん
いのちなり
みのり棄てば
うれしからまし
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【参考・引用文献】
塩川治子『歌人番外列伝 異色歌人逍遥』短歌研究社(2020)
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