Karikomu

「かりこむ」は、八雁短歌会員を基とした短歌を学ぶ場です。

本日の一首 ー 工藤貴響

西の雲払われたれば川の面にひかりを下ろす虹のなないろ

         工藤貴響『八雁』(2021年・7月号) p52

逐語訳: 西にある雲がとりのぞかれると川の水面へ七色の虹がその光を下ろす

 

 綺麗な自然の風景と、二句の詠い出しによる時の経過の導入に、上手さを感じた。この様な、誰が見てもきれいな風景をどう詠えばよいのか、という時に、表現の力が必須であり、且つ、過剰な表現の力で押し込まない「おさまり」を試されると思った。自然詠云々ということは、余り気にならない。推敲が云々ということも、余り気にならない。どうしても皆が美しいと思える景色を、作者が自分の言葉で伝えきっている一首だと感じた。言葉と向き合っている作歌姿勢を思った。最近、めきめきと腕が上がってきておられる。揺らがない実力に向かっているその取り組みに、毎度、励まされている。 

 

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*当面の間、月曜日・木曜日を目処とした週二回の更新になります。何卒宜しくお願い申し上げます。