Karikomu

「かりこむ」は、八雁短歌会員を基とした短歌を学ぶ場です。

本日の一首 ー 阿木津英「釋迢空」について②

 釋迢空の表記法について。迢空は、読点、句読点を用い、又、他行書きも試みている。これは、自身の判断によるものであるが、その根拠は深いものであることを記しておきたい。

 和歌の時代は、短冊や色紙にはしり書きをすることが当然であった。墨書きの字面や字画の感触にまで心をつかい、さらに、そこから、自身の呼吸、思想の休止点、内在している拍子を示すのに骨折ることは、誇るべきことである。

 しかし、活版印刷になると、宮廷詩なる大歌系統の詩形である「五七五七七のみ」が「歌の様式の固定」として残ってしまい、それが、今現代の「表示法からくる読みの固定」になってしまっている。つまり、「どこで、この歌は句切れるのか」という問題が、意味内容のみからの推測となり、作者の呼吸を感じた上での句切れを読み解くことが、疎かになってしまっている。

 以上の点は、歌の生命の為に、常に、読み手として高い意識を持つべきである。

 

<参考文献>

阿木津英『アララギの釋迢空』(2021) 砂子屋書房

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*当面の間、月曜日・木曜日を目処とした週二回の更新になります。何卒宜しくお願い申し上げます。

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