本日の一首 ー 阿木津英「釋迢空」について②
釋迢空の表記法について。迢空は、読点、句読点を用い、又、他行書きも試みている。これは、自身の判断によるものであるが、その根拠は深いものであることを記しておきたい。
和歌の時代は、短冊や色紙にはしり書きをすることが当然であった。墨書きの字面や字画の感触にまで心をつかい、さらに、そこから、自身の呼吸、思想の休止点、内在している拍子を示すのに骨折ることは、誇るべきことである。
しかし、活版印刷になると、宮廷詩なる大歌系統の詩形である「五七五七七のみ」が「歌の様式の固定」として残ってしまい、それが、今現代の「表示法からくる読みの固定」になってしまっている。つまり、「どこで、この歌は句切れるのか」という問題が、意味内容のみからの推測となり、作者の呼吸を感じた上での句切れを読み解くことが、疎かになってしまっている。
以上の点は、歌の生命の為に、常に、読み手として高い意識を持つべきである。
<参考文献>
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