Karikomu

「かりこむ」は、八雁短歌会員を基とした短歌を学ぶ場です。

2019-01-01から1年間の記事一覧

第七十四回 『傑作歌選第二輯 武山英子』武山英子

第七十四回 『傑作歌選第二輯 武山英子』武山英子(大正四年)<選歌10首>(全197首より) 寵さめて凭(よ)るにさびしき朝の窓何の傲りぞ緋牡丹の花 幣(ぬさ)を手に雁を見おくる人わかし加茂のやしろの秋の夕ぐれ 湯あがりのかたちつくろふ夕かがみ対(…

第七十三回 『濁れる川』窪田軽穂

第七十三回 『 濁れる川』窪田軽穂 (大正四年)<選歌17首>(全1011首より) 麦のくき口にふくみて吹きをればふと鳴りいでし心うれしさ 麦の穂のしらしらひかり春の日のたのしかりし今日も終らんとすぞ 生まれては初めて見るとまさやかに青き五月の天(あ…

第七十二回 『切火』島木赤彦

第七十二回 『 切火』島木赤彦 (大正四年)<選歌8首>(全263首より) 女一人(ひとり)唄うたふなる島踊りをどりひそまり月の下に 椿の蔭をんな音なく来りけり白き布団を乾(ほ)しにけるかも バナナの茎やはらかければ音もなし鉈(なた)をうち女なりけ…

第七十一回 『明る妙』尾山篤二郎

第七十一回 『 明る妙 』尾山篤二郎(大正4年)<選歌7首>(全388首より) 曙の風のあゆみもはろやかにさてこそ山はそびえたりけり ながれよりかなしみ来るながれより鋭(と)きかなしみの色てりかへす わが杖木、真冬のまさごつくなべにくやしくあとぞの…