本日の一首 ー 『八雁』十周年
一棟の壁を照らせりひがしよりわたり来りてあかきひかりは 阿木津英
短歌結社『八雁』は今年で十年を迎える。運よく2011年の末月に滑り込んだ私は、ただ単に、月一度の「歌会」が楽しくてここまで来てしまった。阿木津氏からもっと歌数を増やすように言われてただ単にたくさん作るも、「歌はこんな風にさかさかと作るものでは無い」と半年以上言われ続けた時期もある。あまりに歌が作れなくて「歌が作れない『歌』」を出詠し(歌会に参加するには一首出詠しなければならない為)歌会にだけは行かれるようにするしかなかった時期もあった。ここ数ヶ月、ようやく「歌」というものが見えてきた気がする。ある時、京都に在住の八雁会員のS氏が横浜歌会に来てくださった時のこと、歌会後の飲みの席で「今日、僕は早速一首作りましたよ」と仰った。その一言に、私は以前の私とは違う響きを覚えた。日常においてそういう水準で歌を作れるようになれば、歌数も自ずと増える。そして、自分の歌なのだから、一首一首を丁寧に作る心が大事なのだ。「自分が歌を作る」「自分は歌を作る」だけではない「歌が自分を導いてくれる」「歌が自分を救ってくれる」。分かり始めた今が、新たな出発点だと思っている。
<引用・参考文献>
うた新聞 令和四年四月十日 第121号 「春」
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*当面の間、月曜日・木曜日を目処とした週二回の更新になります。何卒宜しくお願い申し上げます。
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