2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧
生きるとき死体はないが探偵は文字をひらめく棺のように 「静けさの冒険」永井亘 p32(瀬戸夏子 選) そもそも、新人賞とは何を指標としているのであろうか。「目新しさ」が最優先基準なのだろうか。そうであれば、なぜその作品が「新しい」のか、その「新し…
<第九回現代短歌社賞> 受賞作品(同時受賞・二作品) 母逝きしこの世の冬の夕空をこゑはろばろと白鳥わたる 在りし日の父母を思ひてわれら亡き後をし思ひ仏具を磨く 近づきし白鳥のこゑこの丘にしばし響きてふたたび遠し 打矢京子『冬芽』p24-29(阿木津英 …
今日の日の溺るるごとき一人居の夕べ机を手に押して立つ 河野幸子『八雁 通巻60号』(2021年11月号)p3 「助詞」といえば、河野幸子氏が浮かぶ。玉城徹氏は「(短歌は)最後は人間だ」と仰ったそうだが、その通りだと思う。何かの場で、河野氏が「もう一度…
角川短歌賞の次席(受賞該当作なし)に、工藤貴響さんが選ばれた。ここ半年の「八雁」でも、盤石な歌の力を感じ、一体、どうしたらこんなに成長できるのだろうと思っていたところの、吉報であった。 もっと早くに、この事を書きたかったのだが、選考座談会に…
己斐駅を過ぎしころ ふとしはぶきす。寝ざめのゝちの 静かなる思ひ p452 十月に既(ハヤ)く 時雨の感じする雨あがり居つ。とんねるの外 p452 『倭をぐな』 釈迢空 『釈迢空全歌集』(2016)角川ソフィア文庫 私が最初に「釋迢空」に出会ったのは、現代短歌全…