Karikomu

「かりこむ」は、八雁短歌会員を基とした短歌を学ぶ場です。

本日の一首 ー 関口智子

 断りの返事は程良く軽々と絵文字にペコリとお辞儀をさせて    関口智子          

 拙歌である。私は長らく歌会で「零点(0点)」と「一点」を行ったり来たりしていた。色々な試みの実験場として歌会に臨んでいたと思う。と言えば聞こえは良いが、私は私以外の誰かになったつもりでー取り分け口語短歌を理解する、あるいは過剰に意識してー作った歌を出詠していた。でも、ある時、歌会で「調子が悪くてもこれぐらいは(作ることができる実力)」と他人様の歌が評価され選に入ったことが、ずっと心に在り続けた。私自身は上記の拙歌を好むかと言えば、好まない。久しぶりの「四点」であったが、選に取ってくださった方々に申し訳ない気持ちさえした。ただ一つ、学んだことは、もう、どんな歌であろうと「『自分の歌』の水準を上げていく」以外の試みをしている時間的猶予は無いということである。私は体質が古い。古いので現存する歌人の歌と向き合うより、故人の歌と向き合う時に心が安らぎ、自然と謙虚な気持ちで、静かな時間をどこまでも過ごしたくなる。そして、それが自分が生きていく上で、最も必要で、最も愉しく、最も幸せな、唯一、である。  

<引用・参考文献>

 八雁横浜短歌会 六月の歌会より

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*当面の間、月曜日・木曜日を目処とした週二回の更新になります。何卒宜しくお願い申し上げます。

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