Karikomu

「かりこむ」は、八雁短歌会員を基とした短歌を学ぶ場です。

2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧

第四回 服部躬治 『迦具土』

服部躬治 歌集『迦具土』(かぐづち)より十首 〈選歌十首〉 君見ませ折る人無みに歳を経し野茨の花のここちよげなる 貴人(アデビト)は誰よりうけし勢力(イキホイ)ぞわれに詩(ウタ)あり神の授けし 手すさびにをりたる紙の鶴すらも飛ばむとすなり春の初…

第三回 与謝野鉄幹 『紫』

与謝野鉄幹 歌集『紫』明治34年(1901年)より十首 〈選歌十首〉 雲を見ず生駒葛城(いこまかつらぎ)ただ青きこの日になにとか人を咀(のろ)はむ 野のゆふべ花つむわれに歌強ひてただ『紫』と御(み)名つげましぬ 五つとせむつまじかりし友のわかれ城のひ…

第二回 金子薫園 『かたわれの月』

金子薫園 歌集『かたわれの月』より十首 〈選歌十首〉 桃のはな君に似るとはいひかねてただうつくしと愛でるやみしか なにものか胸に入りけむ年ごろの懊悩(なやみ)わするるふゆの夜の月 同じ世に生れあひたる嬉しさは我も御弟子(みでし)のつらに入りぬる…

第一回 与謝野鉄幹 『東西南北』 

第一回 与謝野鉄幹 『東西南北』 明治29年 おなじ道、おなじ真ごころ。二人して、いざ太刀とらむ、いざ筆とらむ。 槐園と賦す。 〈直訳〉同じ道に同じ本当の心で、二人で、さあ刀をとろう、筆をとろう。 詞書の、「槐園」とは、鮎貝槐園のことだろうか。「賦…