2017-01-01から1年間の記事一覧
服部躬治 歌集『迦具土』(かぐづち)より十首 〈選歌十首〉 君見ませ折る人無みに歳を経し野茨の花のここちよげなる 貴人(アデビト)は誰よりうけし勢力(イキホイ)ぞわれに詩(ウタ)あり神の授けし 手すさびにをりたる紙の鶴すらも飛ばむとすなり春の初…
与謝野鉄幹 歌集『紫』明治34年(1901年)より十首 〈選歌十首〉 雲を見ず生駒葛城(いこまかつらぎ)ただ青きこの日になにとか人を咀(のろ)はむ 野のゆふべ花つむわれに歌強ひてただ『紫』と御(み)名つげましぬ 五つとせむつまじかりし友のわかれ城のひ…
金子薫園 歌集『かたわれの月』より十首 〈選歌十首〉 桃のはな君に似るとはいひかねてただうつくしと愛でるやみしか なにものか胸に入りけむ年ごろの懊悩(なやみ)わするるふゆの夜の月 同じ世に生れあひたる嬉しさは我も御弟子(みでし)のつらに入りぬる…
第一回 与謝野鉄幹 『東西南北』 明治29年 おなじ道、おなじ真ごころ。二人して、いざ太刀とらむ、いざ筆とらむ。 槐園と賦す。 〈直訳〉同じ道に同じ本当の心で、二人で、さあ刀をとろう、筆をとろう。 詞書の、「槐園」とは、鮎貝槐園のことだろうか。「賦…