Karikomu

「かりこむ」は、八雁短歌会員を基とした短歌を学ぶ場です。

本日の一首

何事もあらざるひと日ゆうぐれは赤きズボンをはきて出でゆく  

  阿木津英 『紫木蓮まで・風舌』 沖積舎 (1985)p175   

 

 この歌を最初に拝読したのは、今から六、七年前である。当時、私は35歳前後であった。何しろ驚いたのは、私は、この歌と全く同じ動機で全く同じ行動をしたことがあった。暗誦の苦手な私は、歌をイメージに依り場面化して一枚の写真のように、「薄らぼんやり」と覚える癖がある。歌が脳に浸食してくるようで怖いのである。やれやれ。その様な有り様だから、記憶にある歌をすぐに引くことが叶わない。もうそろそろ、頑健に暗唱していくこととする。