Karikomu

「かりこむ」は、八雁短歌会員を基とした短歌を学ぶ場です。

本日の一首

  学生の影疎らなるキャンパスやひときわさびし三月末日  

       篠原三郎『キャンパスの四季』 みずち書房(1991)p26

 

 我等「八雁」にいつも、励ましのお便りをお送りくださる方がいる。同姓同名だろうか。この本は、2012年に、私が「八雁」の正会員になった時に詠った「歌作る覚悟を決めたその日から途端に作れなくなる歌よ」という歌へ、「なんだか愉快になってきた」とのお言葉を添えてくださった折りに、探し求めた歌集である。どの様な歌人なのかと前のめりに御著を手に取った。大学にお勤めである様で、他の詳細は存じ上げないままであるが、上手い下手、好き嫌い、などを他人に考えさせることなく、ただ、ごく自然に詠われている歌や作歌姿勢に、かえって学ばされることが多かった。特別に目立つ歌は無い、だからこそなのだろうか、なぜなのだろうか、どうしても手放せない一冊である。