Karikomu

「かりこむ」は、八雁短歌会員を基とした短歌を学ぶ場です。

本日の一首

窓すべて夕焼したる建物のひとつの窓がいま灯(とも)したり

佐藤佐太郎『しろたへ』『現代短歌 9月号』現代短歌社(2020)p65

 

 佐藤佐太郎が好きだと言う方が、周囲に多い。掲出歌は私が初めて目にした、佐藤佐太郎の歌である。上手い。内容もいい。けれども、私は同じ「窓」を素材にした歌ならば、昨日、上げた上田三四二氏の歌により共感した。なぜか。佐藤佐太郎の歌は、私にとっては上手過ぎる。その「職人」的な上手さが、詠いたい気持ちよりも、前に出ている気がしたのだ。